2025年の高級時計市場を振り返り:投機的な動きが弱まり、安定をキープ、成長の新たな原動力となるのは「エレガンス」
投機的な動きが弱まり、安定をキープ、成長の新たな原動力となるのは「エレガンス」


Johannes FörsterChrono24
- デザインシフト:ドレスウォッチがスポーツウォッチを凌駕。レクタンギュラー型ケースとシャンパンカラーの文字盤の需要が、それぞれ9.3%と7.9%アップ。
- ブランドパフォーマンス:ヴァシュロン・コンスタンタンがシェアを13.4%伸ばしハイエンドセグメントの成長を牽引。IWCは14.4%の伸びを記録し、人気が復活。
- 市場の安定性:ロレックスは安定をキープ(3.3%減)し、コレクター主導の健全な市場であることを示唆。
- 地域別市場動向:米国市場における平均取引価格は前年比で8.43%上昇と回復を見せ、ヨーロッパ市場は前年比0.28%増と堅調をキープ。
ドイツ・カールスルーエ(2026年2月2日)– 世界の高級時計市場は、投機を目的とした需要による価格変動を経て、コレクター主導の安定した市場へシフト。高級時計専門オンラインマーケットプレイスChrono24では、2025年の高級時計市場を総括。数百万件に及ぶ実際の取引データから、コレクターの動向の決定的な変化が明らかに。スポーツウォッチが依然として一定の販売量を誇る一方、洗練されたエレガントなデザインを持つ時計が力強い成長を記録しました。
1.データから見る「エレガンス」へのシフト
2025年、コレクターは「大型時計」トレンドから脱却。データからは、耐久性よりも洗練が好まれていることが明らかになっています。
- ケース:レクタンギュラー型ケースの需要は2024年と比較して9.3%増加し、メインとなるラウンド型デザインに対し、その存在感を高める結果に。
- 文字盤カラー:定番のブルーとブラックの文字盤が安定をキープした一方で、「ジュエリーライク」なカラーが急増。最も伸びたのは、グリーン(9.5%増)、シャンパンカラー(7.9%増)、ゴールド(6.5%増)の3カラーで、時計が個性を表現するアイテムになりつつあることを示唆。
- クラシックなディテール:ムーンフェイズが前年比で15.3%の伸びを見せ、人気が急上昇。手首でエレガントに映えるディテールが再び評価されていることが明らかに。
- 核となるブランド:ドレスウォッチトレンドの中心に位置するカルティエでは、新作ではなくクラシックなサントスとタンクへの継続的な需要から、市場シェアが前年同期比で8.3%アップ。
2.伝統的な高級時計ブランドが躍進
市場全体が安定を見せるなか、老舗ブランドが市場シェアで2桁増の躍進を記録しています。
- ハイエンドセグメントの勝者:世界三大時計ブランドの一つに数えられるヴァシュロン・コンスタンタンは、他の2ブランド(パテック フィリップ、オーデマ ピゲ)を上回る13.4%の市場シェアアップを達成。オーヴァーシーズコレクションだけでも17.3%の伸びを記録し、上質で洗練されながらも実用性を備える高級品への需要を巧みにキャッチ。
- カムバックを果たしたブランド:IWCは、パイロット・ウォッチコレクション(10.0%増)、インヂュニアコレクション(90.9%増)を中心に市場シェア14.4%アップを記録。安定した価格で手に入れることができる、エンジニアリングを追求する老舗ブランドへ再び注目が集まっていることが明らかに。
- 安定したパフォーマンスを見せたブランド:チューダーでは、ミドルレンジセグメントにおけるブラック ベイコレクションの戦略的な展開が功を奏し、市場シェアが8.7%アップ。
3.新しいコレクションと革新性で魅せたロレックス
販売数ベースで依然として時計市場を牽引するロレックス。2025年は市場シェアが3.3%減とわずかな落ち込みを見せたものの、これは以前のような投機目的での需要が減り、需要、価格ともに安定し始めたことを示唆しています。しかし、時計業界のリーダーであることに変わりはありません。新コレクション「ランドドゥエラー」の発表は、即座に世界中の注目を集め、カラーアップデートではなく、技術革新こそがコアなコレクターを惹きつけることを証明しました。
4.市場の回復力:米国 VS 欧州
低迷が続く世界経済に対し、二次流通市場は不安定な推移を見せた株式市場との相関性の低さを示しています。
- 米国:時計市場で最も高い回復力を誇った米国市場。2025年第4四半期の米国市場における平均取引価格は、前年同期比で8.43%アップ。
- 欧州:欧州市場は、0.28%増(ユーロベース)と堅調を維持。(注記:米国データはドル建て取引、欧州データはユーロ建て取引による)
「データからも明らかなように、時計業界では短期間で売買を行う投機家が減少し、真の時計コレクターたちが再びその中心となっています。ヴァシュロン・コンスタンタンのシェア2桁増や、レクタンギュラー型の時計が前年比で9%も売り上げを伸ばしたのは、時計愛好家たちが自分の好きなスタイルを追求しているからであり、誰もが欲しがるものを求めているからではありません。
2026年に向けて、この傾向はさらに強くなるでしょう。トレンドは着けやすいサイズとヴィンテージテイストに回帰しつつありますが、コレクターは大胆なカラーや別の素材を選び、自分らしさをプラスしています。また、サステナビリティは『あれば良い』ものではなくなってきました。リサイクル素材であれ、サプライチェーンの透明性であれ、環境および倫理基準への期待は、特に市場に参入する若い世代にとって、消費における基本となりつつあります。」――Chrono24ブランドエンゲージメント部門責任者、バラシュ・フェレンツィ
分析について
このレポートはChrono24マーケットプレイスにおける実際の取引に基づいています。ブランドおよびコレクションのパフォーマンスは、取引を基にした市場シェアを用いて測定されています。その他のすべてのカテゴリーは、販売数量シェアに基づいています。特段の記載がない限り、パーセンテージはすべて前年比を反映したものであり、パーセンテージポイントではありません。地域別の平均取引価格は、売れ筋上位100の時計の現地通貨建での平均取引価格を用いて算出されています。